政府支出と自殺死亡率

< 簡易解説 >

消費税5%が導入され、自殺者が最高レベルに跳ね上がりました。それは10年以上も解除されずに続きました。それは120年間で戦後と同じ、最高レベルです。外国からは内紛でもあるのか?と驚かれ、さらに消費税は8%を経て、現在は10%になりました。最近は一見下がったように見えますが・・・?

実は検視官の臨場率が10年ほどの間に11%から76%に急上昇しています。

つまり、死体判定の精度が上がった可能性が高いです。逆に言えば、少し前まで、検視官がチェックしないで、現場の勘と経験により、判定していたと言えます。ですから、臨場率の向上自体は喜ばしいことですが、自殺死亡率の統計の質が変わってしまったとも言えます。

以下のブログでも述べてありますが、自殺死亡率単体では、あと10年くらいしないと、なかなか使うことには不安があるように思います。

上記文中にもありますが、刑事さんにも疑われています。

「気になる統計がある。警察庁の「死体取扱数等の推移」を見ると、「変死体」の数は10年前には1万2747体だったが、一昨年は2万211体と約8000体増えている。比例するように自殺者数はこの10年間で8000人減っているのだ。自殺者が減ったというより、“数字のトリック”が隠されているのでは……と勘ぐりたくもなる。元兵庫県警刑事の飛松五男氏がこう言う。」

というわけで、作成したのが以下の図です。

刑事さんの言うように、自殺が減って、変死体が増えています。合計ではさほど変わりありません。ですので、一番初めのグラフには、自殺と変死体の合計死者数を併記したところ、さほどピークから下がっていないグラフが現れました。下がったように見えますが、高水準には変わりありません。

経済の環境的にも、何も状況は好転しておりませんので、急激に下がる方が不自然です。普通に改善したいのならば、改善の答えは、消費税3%以下に下げ、所得倍増計画のときに最低値をたたき出したように、国家予算を増額していくべきです(後述)。

また、年齢別に見ても、消費税5%のときに、15-19歳の社会人になる前の年代でも自殺死亡率は上昇しており、消費税は避けようのない死者を生み出した、生み出し続けている、と言えます。

< 自殺死亡率の最低を記録した所得倍増計画 >

1960年の所得倍増計画時には、国家予算が1年で15%ほど増える状況が続きました(青い棒グラフ)。それだけ国民にもお金が回っていたと言えます。入札支払いなどを通して。同時に、ピンクの自殺死亡率は最低値を叩き出しました(上下反転)。

だいたい連動しているように見えますが、1920年は恐慌続きで、国家予算で補てんしても自殺者が増えていきました。1940年の戦時の前はデータがすぐ途切れますが、圧倒的な財政出動で、自殺者が急減しています。1990年はバブル、正確に言えば投機バブルでしたが、それでも自殺者は減りました。


経済指標として、自殺死亡率や失業率は、他の指標と反比例なので、時系列では少しわかりにくいです。というわけで以下が散布図になります。

< 大きく見れば、政府が金を出すほど自殺が減る >

減りますが、毎年40%づつ、国家予算を増やしていく、というのはちょっと極端ですね。ほとんど戦後に集中しています。

物価(単価)自体も上昇していたことで、総額である国家予算も強制的に増えていかざるを得なかったのだと思います。では、極端な緑の部分を抜いて、赤い部分を拡大します。


< 国家予算が10%超だと、自殺者は多くない >

100年近くにわかるデータで散布図を出したのは初めてですが、バラツキがあるので予測線は引きにくいです。ですが、固まりとしての傾向は掴めますね。

所得倍増計画の始まり1960からスタートして、所得倍増を達成した1967・68年あたりには、自殺死亡率の最低を記録しています。ちなみに1974は所得倍増計画の最後の実行者、田中角栄です。この近年で一番お金を出しています。1973年には第二次ベビーブームも起こりました。

よって、本当に自殺者を減らしたいと考えるのであれば、消費税を3%以下にし、政府支出を毎年11%以上にせよ、ということが単純なデータから見えてきます。

< 内閣府、警察庁のアンケート調査でもわかっている >

自殺の理由を見ると、経済問題が外せません。つまり、少なくとも、景気を良くすれば、この層を救える可能性は高まるわけです。

それに、健康問題や家庭問題、勤務問題、男女問題、学校問題すらも、経済を端に発している可能性がないとは言い切れません。お金で軽減できることも多いと思います。

平成26年版厚生労働白書 ~健康・予防元年~ 図表2-3-6  自殺の原因・動機の割合
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/14/backdata/1-2-3-06.html


< 経済問題を原因とする自殺の割合 >

2002年までになりますが、経済に関しての自殺死亡率です。こうしてみると、途中で調査が途切れていますが、田中角栄にて、所得倍増計画が途切れてしまってから、自殺死亡率が急上昇。1990のバブルでは一度下がっていますが、現代は1800年代に逆戻りです。

現在はここから20年ほど経っていますが、1997年の消費税から、実質賃金は下がり続けているので、経済状況は悪化の一途です。社会環境はさらに悪化していると考えられます。


地方で自殺が急増した「意外な理由」
〜日本社会の隠れたタブー 保険と自殺のキケンな関係~貞包 英之立教大学准教授

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/50183


< 出典 >

政府歳出@財務省、第1表明治初年度以降一般会計歳入歳出予算決算(エクセルシートの途中で金額単位が変わるので注意) 

https://www.mof.go.jp/budget/reference/statistics/data.htm

自殺@人口動態統計特殊報告(厚生労働省、大臣官房統計情報部、人口動態・保健統計課)(サイト一番下の統計表第1表)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/suicide04/index.html

変死体取扱数については、長期の連続データは見つからず、検索しながらメモの手作業で作成しましたので、各自検索してください。むしろ長期データがありましたらコメント欄までお願い致します。

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