エンゲル係数

< 簡易解説 >
「エンゲル係数は、消費支出全体に占める食料支出(食料費)の割合(%)」です。戦後には食費に50%も使っていましたが、時代が進むにつれ、国民は豊かになり、他にもお金が使えるようになり、食費の割合は減っていきました。

しかし、近年、下げ止まり、さらには食費に使う割合が大きくなりました。細かい解説については、グラフの出典である総務省統計局のHPをご覧ください。大変まとまったサイトです。

解説によれば、2015、2016年は原油価格の下落による、エネルギー価格の低下によるもの、また、所得の増加に加え、物価の下落があったこと(修正エンゲル係数、出典HP一番下)、さらに個別に見ていくと、内訳の外食、調理品、野菜、肉類、菓子類にお金を使うようになったから、とあります(出典HP中段)。

グラフも提示してありますので、すべて理解できます。しかし「今回のエンゲル係数の上昇は見せかけで、ほとんど横ばいのままなのだ、よかった」とはならず、横ばいであることが問題であると思うので、以下のデータを合わせて提示しておきたいと思います。

まず、修正エンゲル係数の話しで、所得が向上したから、とありますが、実質賃金は下落しており、実質可処分所得が向上した、とありますが、誤差レベルの話し、と言ったところです。

また、長期傾向を見るに、豊かになるにつれて、食費以外にお金を使えるようになってきたのは間違いのないことです。それが1997年の消費税の5%増税以降、エンゲル係数はほぼ停滞し、下がらなくなりました。実質賃金もそこから低下し続けました。他に自殺死亡率が跳ね上がりました。国民が豊かになっていないのは明らかです。

外食や調理品などの個別項目が上昇したから。それは間違いありません。しかし、エンゲル係数は本来豊かになっていれば、低下していくはずなのですから、個別項目も本来ならば、全体的に下降傾向が表れてくるはずです。97年以降、停滞しているから、内訳全体も停滞し、個別項目については「上がった」と見えています。

エネルギー物価が下がったといえど、それもまた誤差レベルに等しい話です。消費者物価指数、そのエネルギー物価、食料品物価、デフレータ、全て物価を示す指標ですが、どれも90%を超える圧倒的な連動になります。

政府支出による景気回復により、順調に物価が向上していれば、所得倍増計画時のように、順調にエンゲル係数は低下していったのではないかと考えられます。97年の実質賃金の低下から、エンゲル係数の低下も止まったので、現在のエンゲル係数が下限であるか?というのは怪しいと考えます。


< 出典 >

統計Today No.129 明治から続く統計指標:エンゲル係数 総務省統計局統計調査部消費統計課長 阿向 泰二郎
https://www.stat.go.jp/info/today/129.html

0コメント

  • 1000 / 1000

経済はA+B+Cの足し算ですHP

tasanの作成しているグラフを定位置に置く為のサイトです。一目でわかるがいいグラフ。